最後の恋
「……ホワイトクリスマスになったね。」


耳元で彼の声が聞こえたと同時に、体に回された手と彼の体温に包まれた。


耳に流れ込んだ声のせいで、体がピクンと跳ねた。


「…そうだね。とっても綺麗…」


何も見えない真っ暗な夜空から、細かな雪が無数に落ちてくるその景色が幻想的でとても綺麗で、それでいて悲しかった。


時折、窓についた雪が溶け雫となって流れ落ちていく。


降っても降っても跡形もなく露となり消えていく雪が自分と重なる。


私の中にいる彼への思いも、この雪のように跡形もなく消えてくれたらいいのに。




聖なる夜に願ったのは、そんな切なる願いだった。








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