最後の恋
「紫乃…私もね、謝らないといけないことがあるの。」


彼女がどんな反応をするのか怖かった。


もう薄々知られているとは言え、面と向かって言葉にするのは初めてだから。


そして、今の2人の関係を知ってしまうのも…


だけど…もう逃げないって決めてここまで来たから。


無意識にギュッと閉じていた目を開け、顔を上げた。


視界に移った彼女はとても穏やかな笑顔を浮かべてこう言った。


「…礼央の事、でしょ?」


そんな彼女から私も、もう目をそらす事なくはっきりと頷いた。
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