溺愛御曹司は仮りそめ婚約者

「ご、ごめんて……」

「おまけに、女性関係にもだらしがないと思われてたんだもんね。なかなか信用はしてくれないし、本当にひどい。あ、なんかすごい悲しくなってきた」

あれ、まだ根に持ってたのか……。なかなか執念深い。

いや、それだけ深く傷つけたってことですね。これはもう平謝りするしかない。

「ご、ごめんね。本当にごめん。今は、そんなこと思ってないよ。東吾ががんばってるのも知ってるし。寝起きが超絶悪くて、私生活は案外だらしないところもすごく魅力的ですよ」

「……それ、褒めてる?」

枕に顔を押しつけてふてくされていた主任が、ポツリと呟く。私は、それにコクコクとうなずいた。

「褒めてるよ! そういうところ、すごく人間らしくて好ましく思います」

「元々、人間ですけどね。じゃあ、結婚して?」

「はい?」

なぜ、そうなる。困惑する私を、枕から顔を上げた主任が、悲しげな顔のままぎゅっと抱きしめた。

「やっぱり、俺みたいな不気味な男は嫌なんだ。そうだよね、気持ち悪いんだもんね」

「いやいや、違うから。そういうことじゃなくて……」

「じゃあ、結婚してよ。俺、沙奈以外は考えられない。沙奈は、俺が欠点だと思ってるところを好きだって言ってくれるから。沙奈、好きだ。君を知れば知るほど好きになる。沙奈だけなんだ……俺自身を受け入れてくれるのは」

すがるように頰を擦り寄せながら、耳元でささやかれる言葉はとんでもない破壊力を持っていた。

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