溺愛御曹司は仮りそめ婚約者
「勘違いするなよ? 浅田さんは、かわいいよ。ただ、なんつぅか……素朴? まあ、そこがいいところなんだよ。癒し系っていうのかな」
「いいですよ、そんな気を使わなくて。平々凡々しているのは、自分が一番よくわかって……」
そう言おうとしたわたしの手を、複数の手が掴んだ。ギョッとする私の前に、たくさんの真剣な顔が現れる。
「かわいいよ、浅田さんは! 自信持って」
「うん、かわいい! そういう意味じゃないんだよ。ただ、桐島主任に群がってる人から見るとちょっと地味かなって」
「そう、そう。でも、そこが浅田さんのいいところだよ。俺、実は狙ってたし」
「俺も、俺も」
「おい、どさくさに紛れてなに言ってんだよ。桐島の前でそれ言うなよ。視線で殺されるぞ、お前ら」
半澤主任の言葉に、心得ていますとばかりに男性社員数人がコクコクとうなずく。
なんだろう、この一体感。チームワークが良くなるのはいいことだと思う。でも、なんか方向性が違わない?
「な? みんな浅田さんの味方だから。仕事ができる男ぶりを遺憾なく発揮して、根回しが完璧だからそんな事態はなさそうだが……。もし、なにかあれば力になるから言えよ」
ぐっと親指をたてた半澤主任に、他のメンバーも同意するようにうなずいてくれる。