溺愛御曹司は仮りそめ婚約者
その気持ちはうれしいし、大変ありがたい。ありがたいのだけど……なんか違う。
「よし、じゃあ午後からは開発部は桐島主任の指示があったところの調整な。じゃ、浅田さん、いろいろとがんばってね」
がんばって、応援してる、自信持って、と笑顔で声をかけてくれるみんなに引きつった笑みを向ける。
おかしい。なぜ、こんなことに?
私は内心でため息をつきながら、同僚たちと会議室を出た。
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そんな午前中の出来事を思い返しながら、向かいの席で優雅にオムライスを食べている整った顔を睨む。
「なに、そんな顔して。おいしくない?」
「いや、おいしいです……」
会議から戻ってお昼休みになると、待ち構えていたように主任がお昼に行こうと誘いにきた。
今はできるだけ社内ではふたりになりたくないのだが、そのまま外回りに出ると言われては仕方がない。
なにを食べたいか、と問われオムライスが食べたいとリクエストした。そして連れてきてもらった店は、さすがというかなんというか、文句なくおいしい。
「ちょっとスキンシップが過剰じゃないですかね。主任と変に噂になると、いろいろ怖いんですけど」
「そう? 別にうちの会社は社内恋愛を禁止にしてないし。それに俺と沙奈はもう両家公認の婚約者なんだけど」
にっこりと微笑まれて、顔が引きつる。