溺愛御曹司は仮りそめ婚約者


さて、どうしよう。いっそ、思いつく限り褒めちぎって赤面させてやろうか。

いや、返り討ちにあって逆に赤面するのは間違いなく私だ。

妙にリアルに浮かんだその光景を頭から追いやって、窓の外を流れていく景色を眺める。

私が彼の一番好きなところは、私を必要としてくれるところだろうか。

彼が甘えてくれるたびに、触れるたびに、胸の奥からじんわりとした温かさが広がって、たまらない気持ちになる。

私を守るためならなんでもすると、なんの迷いもなく言い切った主任をすごくかっこいいと思った。

だけど、本当のことを口にするのは今はやめておこう。遠くない未来に、自分の気持ちに整理がついたらきちんと伝えよう。

さて、ねちっこく絡んでくることが予想される、今夜の彼の追求になんて答えようか。

それを思案しながら、車を運転する彼の横顔をそっと眺めた。


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