溺愛御曹司は仮りそめ婚約者
「友達、か。なかなか一筋縄ではいかないもんだな。まあ、いいか。うん、ならお友達から始めようか。敬語もなし。じゃあ、打ち合わせしよう。言いたくなかったら深くは聞かないけど、沙奈はおじいちゃんと二人家族なの?」
「あ、うん。私、両親が離婚してるの。それで七歳から茨城のじいちゃんの家で暮らすようになって。小学校六年生のときにばあちゃんが、高校二年生の時にお父さんが病気で亡くなって。それから就職するまでは、ずっとじいちゃんと二人暮らし」
「そうだったんだ。沙奈は、管理栄養士の資格を持ってるよね。それも、もしかしてお父さんとおばあちゃんの病気の影響か何か?」
「うん、そう。ばあちゃんは心臓が悪くて、お父さんは腎臓病だったから」
幼い頃から、当然のように家事の手伝いをしていて、それを苦に思ったことはない。ばあちゃんの具合が悪くなってからは、ほとんどの家事を私がするようになった。
ばあちゃんとお父さんの食事に苦労していた私は、同じように苦しんでいる人達の役に立ちたいと栄養学を学べる大学に進学した。
そこで管理栄養士の資格を取得して、大学を卒業後はじいちゃんのことも心配だから地元の病院に就職するつもりでいた。
でも、就職活動をしているときに桐島フーズの求人を見て、商品の開発にいちから関わりたいと思ってしまった。
そして、じいちゃんに背中を押される形で桐島フーズに就職して、現在に至るというわけだ。