幸せになってもいいですか?


でも、紗枝さん好きでしょ?と
言ってきた奏くんに
私は何も言えなかった


好きじゃないと言えば嘘になるが
でも、好きじゃない
私が好きなのは
奏くんなの、と心で呟く


電車を降り
奏くんと別れ会社へ向かった
ロビーに入り通行証を機械に通すと
紗枝さん、と
後ろから声を掛けられた
振り向かなくても声でわかる


『おはよう、久慈くん』


「おはようございます!今日も後ろ姿に見惚れちゃいました」


何を言っているんだ、この子は…
呆れながらエレベーターへと進む
通勤時間、電車同様
エレベーターも混んでいる


「そういえば、さっきの誰ですか?」


私の後ろに立っている
久慈くんが話しかけてきた

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