幸せになってもいいですか?


なにっ、


冷たい壁が背中に当たる
目の前には
いつもヘラヘラしている久慈くんが
怖い顔をして私を見ている



「紗枝さん、彼氏いないって前に言ってましたよね?」


その言葉に頷くと
握られた手首が更に握られる


「なら、ウツギって誰ですか?」


宇津木…
何故、久慈くんの口から
孝の名前が出てくるのかと、驚いた


「うまくいってないってなんですか?そいつ、紗枝さんの何ですか?」


電車内の会話を聞かれていたことに気がつき
それに私はムッとした
立ち聞きなんて悪趣味だ
聞こえたにしても
こんなことして良いわけない


『久慈くんには関係ないことよ』


手を払おうとしたが
久慈くんの力で押さえつけられた

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