どんな君でも、愛おしくてたまらない。
教室内が、徐々に騒がしくなっていく。
それに比例して、わたしの体温が一度ずつ下がっていってる気分だった。
扉を開けようとした手を、力なく下ろした。
『頑張れよ』
昨日の葉上先生の言葉が、脳裏を過ぎる。
無理、だ。
頑張れない。
探しても探しても、この教室に入れる勇気が、見当たらない。
この一枚の扉が、果てしなく高くて分厚い壁のようで。
わたしは立ちすくむことしかできなかった。
「矢崎さん?」
背後から声をかけられ、たどたどしく振り返る。
「……み、なせくん」
「どうした?入らないのか?」
どう応えたらいいかわからず、俯いた。