どんな君でも、愛おしくてたまらない。
『莉子ちゃんを雪の中から発見して助けたとき、莉子ちゃんの左腕は重傷を負っていて、全く動かない状態だったんだ』
信じがたい話だった。
全く動かない?
今、違和感はあるけれど、普通に動かせるのに。
『それじゃあ、どうして今動くんですか?』
『手術をしたんだ』
手術?
それって、どんな?
『ぎりぎりまで迷ったよ。出血が多かったこともあって、本人が目覚めるのを待っていたら死んでしまう状況で、本人の意思も聞けなかったから』
『何に迷っていたんですか?』
『左腕を切断して義手にするか、最先端の医療技術で左腕を再起させるか』
義手か、再起。
今更怖がりながら、左腕に目を落とす。
これは、たぶん義手じゃない。
わたしの腕だ。
ていうことは……。
『後者の再起させるほうの手術を、行ったんですか?』
葉上先生は黙って頷いた。