どんな君でも、愛おしくてたまらない。
最近の医療技術はすごいな。
動かない状態から完治させることができるんだ。
『ただ』
葉上先生は、未だに浮かない顔をしていた。
『この手術をすると、感覚がなくなるんだ』
……そうか。
違和感の正体は、それだったんだ。
左袖をまくり、恐る恐る右手で左の手首をわざと強く掴んだ。
『本当だ……』
右手には、冷たさが伝わるのに。
左手には、温もりも痛みも、感じられない。
本当に、感覚がなくなってる。
『それに、手術の内容上、左腕に血液は通わない』
『感覚だけじゃなくて、血も流れないんですか?』
『ああ』
自分の左側を、気味悪く感じた。