どんな君でも、愛おしくてたまらない。
引っかかりを覚えたわたしに気づいた葉上先生は、また話し出す。
『莉子ちゃんがこうやって生きているのは、ご両親が守ってくれていたからなんだよ』
『お母さんと、お父さんが……?』
『ああ。ご両親は、雪の中で、莉子ちゃんを抱きしめながら亡くなっていたんだ』
当たり前の幸せが壊れてもなお、お母さんとお父さんは自分よりわたしを想ってくれた。
嬉しい、けどね。
お母さんとお父さんも、生きててほしかった。
助かったのがわたし一人だけなんて、ひどすぎる。
『でも、莉子ちゃんも危険な状態だったんだ』
『三日も眠り続けていたからですか?』
『それもあるが……』
葉上先生の視線が、わたしの左腕に移される。
やっぱり、左腕のどこかがおかしいのかな。