どんな君でも、愛おしくてたまらない。
義手だったら、引っかかりを抱いても、割り切って考えられたのかもしれない。
左腕がなくなっていたら、慣れるまで時間はかかるだろうけど、一生懸命左腕のない自分を受け入れようとしたかもしれない。
でも、この左腕は、間違いなくわたしのもので。
見た目は変わらないのに、感覚が欠落している。
左手でベッドのシーツを触っても、どんな質なのか、どんな温度なのか、わからない。
まるで、“ヒト”じゃない、バケモノの腕。
しかも、その腕が利き手のほうだなんて、神様は意地悪だ。