どんな君でも、愛おしくてたまらない。
クリスマスイブに起こった悪夢の事故を語り終え、不安がりながら、皆瀬くんの右手を握る左手に力を込めた。
皆瀬くんの手のひらの温もりがわからないのが、もどかしい。
「……苦しかった」
涙は、まだ、頬を濡らす。
「バケモノだって噂されることも、普通じゃない自分も、全部全部苦しくてたまらなかった」
どうやったら、この苦しさから逃れられるのか、知りたくて。
耐える術しか、見つけられなくて。
独りで、背負い込んでいた。
「バケモノなんかじゃない」
「皆瀬くん……っ」
「左腕が普通とは違っていても、左手に熱が伝わることはなくても、」
皆瀬くんが両方の手のひらで、わたしの左手をくるんだ。
左手の震えを止めようとしてくれているみたいに。
「矢崎さんは、矢崎さんだよ」