どんな君でも、愛おしくてたまらない。




ねぇ、どうして。

いつもほしい言葉を、贈ってくれるの?




「っ、ありがとう」



どんなわたしでも受け止めてくれる、皆瀬くんが優しすぎて。


涙が、止まらない。




急に吹いた風に乗せて、桜の木が踊る。


散った桜の花びらが、公園を鮮やかに彩った。



一緒に見入った桜色の景色は、とても綺麗だった。




こっそり、横目に皆瀬くんを盗み見る。



ふわり、と皆瀬くんの色素の薄い髪がなびく。


桜を儚く見守るその横顔に、胸の奥を掴まれたような切ない気持ちになる。



八年前、幼いながらに初めての恋に落ちた、あのときと同じ気持ち。




自然と、もう一回伝えたい、と思った。



「皆瀬くん」


「ん?」



ここに連れて来てくれて


話を聞いてくれて


“わたし”のことをちゃんと見てくれて



「本当にありがとう」




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