どんな君でも、愛おしくてたまらない。
俯くな。
負けるな。
頑張るんでしょ、わたし!
生唾を飲み込む。
勇気を振り絞って、扉に手をかけた。
瞬間。
――バンッ!!
机を思い切り強く叩く音が教室から轟いて、扉を開けるタイミングを逃した。
「みんな、もうやめなよ!!」
今の音にも劣らないくらいの大声が、廊下にまで響く。
この声は、咲間さん……?
「バケモノとか悪口言って盛り上がって、すっごくかっこ悪いよ!」
「な、なんだよ突然」
「矢崎さんは傷を負ってまであたしを守ってくれた、優しい人だよ!」
皆瀬くんだけじゃなかった。
“わたし”のことを見てくれていた人は、ここにもいた。