恋してアイビー
パパが大好き
そう笑顔で言いきれるリンを、素敵だと思う。
そんなふうに思える彼女が、そう彼女に思わせる父親が、どこか羨ましく感じた。
(私は…無理だな……)
少し考え込みそうになったことろで私は、リンが立ち止まったことを繋がれた手の引く力で気がついた。
彼女の目線の先には、美味しそうなバニラソフトクリームのお店。
「…あれ、食べたい?」
そう問いかけると、リンはばっとこちらを向くや否や、ぶんぶんと全力で頭を横にふった。
「いいっ!パパが、ほかの人にごちそうもらったらダメって…!」
ほかの人って。
リンの台詞に私は苦笑いを浮かべる。
変なところでしっかりしてるっていうか、ある意味教育は行き届いているというか。
その前にその他人にママと言って抱きつくのを教育すべきだけど。
言葉では我慢しているが、瞳の輝きと口元のヨダレが食べたさをダダ漏れさせている様子に見かね、私はリンを引き連れてそのお店に乗り込んだ。
「すみません、バニラ一つください」
注文から早々と出されてきたそれを受け取り、再び近くのベンチへ腰を下ろす。
そして私は、まだ私の行動に戸惑っている様子のリンの前で、堂々とソフトクリームを食べ始める。
「あー、美味しいなぁ」
「〜〜〜っ!!」
涎をこぼさんばかりにこちらを凝視するリン。
それでも父親のいいつけを守り、耐えて我慢している。
その姿は何とも健気だった。
私は小さく微笑むと、見計らったように行動に出る。
「あぁ、もうお腹いっぱい。残ったのどうしよっかなぁ。食べ物残しちゃったら私、お父さんに怒られちゃうなぁ」
「……っ!!あ、あのっ!」
「もし良かったらリンちゃん食べてくれない?私これ以上たべたらお腹壊しちゃうかも」
「!い、いいよ!!」
こうして、私は守備よくリンにお目当てのソフトクリームをあげることに成功したのだった。
まあ、私の食べかけなのは許して欲しい。
ごめんなさい。