友 ~雲外に蒼天あり~
「若いのに元気がないなぁ?
なにか悩み事かい?」


「丁度いい
私と会っていることで
総司は、他の友達に何か言われてないか」


まさか…

悩みの種が、僕?


近藤さんは、ふわりと笑い


「君は、優しい子だね」


「私は、どちらかといえば冷酷だ
人を殺めても心が痛まない
優しいとは、総司の事だろう」


「僕、優しいかな?」


「2人とも優しいさ!」


「聞いて良いか…
もうひとりの局長…芹沢
あれは、どちらが本当の姿だ」


僕だけでなく、近藤さんも固まった


だって


先ほど、集合して話していたのは
芹沢さんの生活態度の事


どうにか止めないとって…



「普段は、とっても優しい人だよ
しかし、残念な事に酒が入ると
厄介な人になる」


「本当は、優しい人ということだな」


「私からも質問いいかい?
そんなこと聞いてどうするんだい?」


「浪士組の事を調査するように依頼された」


近藤さんは、目をパチパチさせたあと


「はっはっはっ!
倖!君は、私の想像以上の良い子だ!」


「そうでもない」


「良い子だよ!コソコソ探り
それが原因で疑いを掛けられて
総司と会えなくなるのが嫌だから
私に聞こうと考えをかえたのだろう?」


「そうなの?」


「いや…
総司を利用しようとした
総司に聞こうと会いに来た
だけど… 総司に仲間を売らせたくないと
思ったんだ
だけど… 総司の仲間に仲間を売らせた
そんな気になってきた」


「はっはっはっはっ!!!
やはり、良い子だ!!総司!!
良い友を得たなあ!!」


「近藤さん!笑い事じゃないです!
倖… 敵じゃないよね?」


「今のところはな
だが…どうなるかはわからない
総司の友が、私を疑うことは正しい
私は、命令に従い生きているだけ
浪士組を潰せと言われれば
私は、何の迷いなくやる
そういう生き方しかしていない」


「僕を殺せと言われたら?」


「……」


「殺す?」


「……あぁ」




< 14 / 58 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop