もう一度、あなたに恋していいですか
「八木昴くんが羨ましいですよ。こんな可愛い双子に好かれているなんて」

バレてる。
私が昴を好きなのがバレてる。

「何を言って…」

「好きなんですよね。八木昴くんのこと」

「…」

何と答えていいかわからない。
”昴が好き”と言葉にしてしまえば、ずっと胸に閉じ込めてきた今までの日々が無駄になってしまう。

「昴は手のかかる”弟”ですよ」

私はカップを手に取り珈琲を一気に喉に流し込む。

「ふふっ…お姉さんは素直じゃないですね。認める気はないと、そういうことですね。ずっとそうやって我慢してきたんですね」

「我慢なんてしてません!」

私は手に持っていたマグカップを机にドンと大きな音を立てて置く。

「柏木美々さんは、お姉さんと八木昴くんが両想いだと思ってますよ。だから柏木美々さんは諦めようとしていたみたいです」

「え…?」

うそ…美々がをそんなことを?
ちょっと仲のいいふりをやりすぎたかしら…。

「本当は八木昴くん、柏木美々さんと両想いなんでしょう」

この人はどこまでお見通しなんだろう。

「…だから、今日確認しに来たんです。最近先生と美々が仲が良いから、昴が嫉妬しててっ」

「柏木美々さんが僕のほうに心が動いたかもということですか」

「はい」

先生は私の言葉を聞くとふふっと笑って珈琲を置く。

「柏木美々さんの恋愛相談に乗っていただけですよ」

「そう…」

「八木昴くん、相当妬いていましたか?」

「ええ。ご飯も手につかないほどにね」

「じゃあお互い様ですね。あなたたちも親密な振りをしていたのでしょう?」

「うっ…」

言い返す言葉がない。
この人、手強い。
< 102 / 145 >

この作品をシェア

pagetop