もう一度、あなたに恋していいですか
「じゃあ僕と付き合いますか」

「…え?」

昴も開いた口が塞がらないようで、固まっている。

「いま、何て?」

「僕と付き合いませんかって言いました」

「そ、それってどういう…」

先生は美々にゆっくりと近づいていく。

「勿論僕の彼女になりませんかって意味ですよ」

相当距離が近いので、昴が隣ではらはらしながら落ち着かない様子で見つめている。

「あなたとは趣味や好みが似ていますし、話していて楽しいですし、僕ならあなたをそんな風に泣かしたりしません。あなたを守ると約束します」

先生の真剣な表情。
あの人、やるわね。
誰も演技だなんてわからないほどに上手だわ。

「でも私…生徒、ですよ?」

「僕がそんなこと気にすると思いますか?人を好きになるのに生徒かどうかなんて関係ないでしょう」

先生はトレードマークの黒縁眼鏡を外し、美々の目をじっとみつめている。

え、待って。
顔近すぎない?
て言うか、このままじゃキスしちゃうんじゃない?
ちょっと先生、そこまでしてだなんて言ってないわよ?

え、待って!
嘘っ…!?
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