もう一度、あなたに恋していいですか
私は昴を置いて急いで保健室の前まできた。
息があがるのをよそに、ドアの隙間から室内を覗く。

「…どうされたんですか。何かあったんですか」

どうやら間に合ったようね。
ドアの隙間から先生と目が合う。
上手くやってくださいね、と目で会話をする。

「わたし…昴のこと諦めます。もう無理です…このまま3人で今まで通り仲良くするなんて…っ」

ちょっ…美々、嘘でしょう?
やっぱり昴がきつく言い過ぎたのかしら。
もう昴、早く来てよ!

「寧々ちゃんなら昴をとられてもいいって…ずっと思っていました。ううん、そう思おうとしていたんです。でも年を重ねる度に、昴への気持ちは小さくなるどころか、どんどん膨らんで、独り占めしたいって思うんです」

もう…美々が泣いているの見ていたら、私も泣きそうになってきたわ。

「昴は寧々ちゃんのことが好きなのに…私もうどうしたらいいかわかりません」

泣きじゃくる美々。
それを見つめる先生。
そのタイミングで近くの階段から、足音が聞こえる。

「わりい。遅くなった」

小さな声で昴は私に言う。
相当急いできたようで、かなり息があがっている。

いいタイミングで来てくれたわ。
これで実行できる。

私は先生に目線を送った。

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