もう一度、あなたに恋していいですか


「マッチウォンバイ柏木!」

スマッシュを決め、私は息を整える。
体育はテニス。
総当たり戦をしていて私は未だ負けなしだった。

「美々はやっぱり強いな…勝てないよ」

クラスメイトで友達の玲奈(れな)が、息を荒げながら私に話しかけてくる。

「そんなことないよ。テニスはそこまで得意じゃないよ」

「またまたそんなこと言って~」

私たちはそんな会話をしながらグラウンドの端へ歩いていき、水分補給をする。

「最近だいぶん涼しくなったよね」

「ほんとだよね」

学期始めは蒸し暑さで汗がにじんで日焼けも気になっていたが、最近は快適に過ごしやすい陽気だ。

「7月に外で体育をしてるときに、熱中症になった人多かったよね。今年暑かったからさ」

「言われてみれば確かにそうだね。夏は体育館にしてほしかったわ」

そういえば私たちのクラスにも熱中症になって保健室に運ばれた人がいたっけ。

保健室という単語が出てきた瞬間、私はふいに西條先生のことを思い出した。
今朝のことでまた顔が赤くなる。

私は西條先生のことをほとんど知らない。
玲奈はどんな人か知っているのだろうか。

「ねえ玲奈」

「ん?」

「保健医の西條先生って知ってる?」

「ああ、あの黒縁メガネの白衣の人?」
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