もう一度、あなたに恋していいですか
「ん…」

わっ…!

先生が目覚めて焦った私は、手を引っ込めてすぐさまベッドから離れる。

「ああ…柏木美々さんですか」

先生は起き上がって、少しずれた眼鏡を整える。

私はいま、何をしようとしていたのだろう。
胸の鼓動がおさまらない。

「仕事中なのにっ…寝てていいんですか!」

先生は立ちあがりデスクのほうへと歩いていく。

「昨日夜中までDVDを見ていて寝不足だったんですよ。そんなに人も来ないのでたまに寝てます」

「自由ですね…」

「でもこれから柏木美々さんがくるなら、寝過ごしても起こしてもらえますね」

「いやいや、何故そういう発想になるんですか。もう」

私はそう言って唇を尖らせる。

「ごめんなさい、怒らないでくださいよ。コーヒー御馳走しますから」

「砂糖とミルクは多めにしてくださいね」

「わかりました。少し待っててくださいね」

保健室には電気ケトルでお湯を沸かせる音だけが響く。
私と西條先生、二人だけの静かな空間。

なにも会話がないのに、気まずい空気にはならなくて居心地がいい。
何でだろう。

「ねえ先生」

「はい、なんですか」

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