もう一度、あなたに恋していいですか
「…好きなのか」

「え?」

「西條のこと好きなのか」

昴の思わぬ質問に私は驚きを隠せない。

「何言ってるの。そんなわけないじゃん」

「そんなわけないなら、何で頻繁に保健室に行くんだよ」

「それは…」

言えるわけないじゃん。
昴のことを相談してたなんて。

「言えないのか」

「…」

何と言っていいかわからず、私は黙りこむ。

「言えないようなことしてるのか」

「そんなことない」

「じゃあ何してるんだよ」

「それは…」

「ほら、言えないじゃん」

何でそんなことを聞くの?
そんな怖い顔で、責めるような口ぶりで。
私を悩ますのは…こんな気持ちにさせるのは昴でしょう?

「私が西條先生と何をしようが…そんなの、昴に関係ないじゃん!」

思わず声が大きくなる。
気づけば目から涙も溢れていた。

「ずっとずっと、寧々ちゃんが羨ましかった。毎朝昴の寝癖をなおすのも、私が代わりたいっていつも思ってた。昴は…寧々ちゃんだけ見てればいいんだよ。この言葉の意味、昴にはわからないでしょう?」

「……美…」

昴が何か言おうとするのを遮り、私は教室から飛び出した。

いきなり泣いちゃったから、昴びっくりしたかな。
もう昴とは前みたいに笑いあうこともできない。
ずっとこれから先も3人でだなんて無理だったんだ。

昴のことはもう諦めよう。
私はそう決めた。
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