もう一度、あなたに恋していいですか
学校に到着したのは、まだ朝練をしている生徒しかいないくらいの時間帯だった。
私が足をむけたのはやはり保健室だった。
保健室の前で立ち止まる。

電気がついている。
西條先生はもう出勤しているようだ。

ーーーコンコン。

私は2回ノックして扉を開ける。

「ああ、柏木美々さん。今日は朝早いですね。どうしましたか」

先生はまだ出勤したてのようで、鞄から荷物を取り出している最中だった。

「西條せんせい…」

西條先生の姿を見た瞬間、私は我慢していた涙が一気に溢れ出す。

「…どうされたんですか。何かあったんですか」

先生は泣いている私を見て、取り乱すこともなく静かに言う。

「わたし…昴のこと諦めます。もう無理です…このまま3人で今まで通り仲良くするなんて…っ」

先生は何も言わず、動かしていた手を止めて私を見ている。

「寧々ちゃんなら昴をとられてもいいって…ずっと思っていました。ううん、そう思おうとしていたんです。でも年を重ねる度に、昴への気持ちは小さくなるどころか、どんどん膨らんで、独り占めしたいって思うんです」

涙は止まるどころか流れ続け、頬を伝い零れる。

「昴は寧々ちゃんのことが好きなのに…私もうどうしたらいいかわかりません」

私はその場に崩れ落ち、スカートを涙で濡らす。
私の泣きじゃくる声だけが響く。
どれくらいたったかわからないけれど、何も言わなかった先生は崩れ落ちた私を見て、そっと口を開いた。
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