もう一度、あなたに恋していいですか
「じゃあ僕と付き合いますか」

次に先生が口にしたのは衝撃的な言葉だった。

「…え?」

頭の中がぐちゃぐちゃで思考が追い付かない。

「いま、何て?」

「僕と付き合いませんかって言いました」

やっぱり聞き間違いじゃなかった。

「そ、それってどういう…」

先生は私の方へ歩いてきて、地面に座り込む私の目の前でしゃがんだ。

「勿論僕の彼女になりませんかって意味ですよ」

先生は私の頬の涙を指で拭う。

「あなたとは趣味や好みが似ていますし、話していて楽しいですし、僕ならあなたをそんな風に泣かしたりしません。あなたを守ると約束します」

先生は真剣な表情で私を見ている。

「でも私…生徒、ですよ?」

「僕がそんなこと気にすると思いますか?人を好きになるのに生徒かどうかなんて関係ないでしょう」

先生はトレードマークの黒縁眼鏡を外し、私の目をじっとみつめる。
私も先生を見つめかえす。

先生の素顔、はじめて見た。
綺麗な目。
先生の目に私が映っているのがわかる。
やっぱり眼鏡外したら格好いいじゃん。

先生の顔が近づいてくる。

あ。
このままだとキスしちゃう。
はじめてなのに…
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