もう一度、あなたに恋していいですか
今日は彼女がハンバーグを作ってくれる約束をしている。
午後6時30分。
彼女が退勤して約一時間、俺は彼女の家に行くために会社をあとにする。
電車に乗ろうと駅に着いたとき、俺の携帯の着信メロディが鳴る。
画面を見ると妻の名前が表示されていた。
こんな時間に電話してくるなんて珍しいな。
俺はすぐに通話ボタンを押す。
「もしもし」
『もしもしあなた?』
妻の声が焦っているように感じる。
何かあったのか。
「どうした?」
『ちょっと和香が熱出しちゃって。車で病院に連れていってくれない?』
和香が熱?
「大丈夫なのか?」
『季節の変わり目だから風邪を引いたのかもしれないわ。とりあえず今日は早く帰ってきてほしいの』
「わかった。すぐに帰る」
俺は通話を切り、トーク画面を開く。
”ごめん今日行けなくなった”
そう打って彼女に送信する。
さすがに娘を放って彼女のところに行くわけにはいかない。
俺は自宅のある方面の電車に乗る。
彼女には申し訳ない。
明日の昼、彼女を誘ってご飯に行こう。
上司と部下として。
この間見つけた洋食の店、美味しかったし彼女を連れていこう。
そんなことを考えながら家路を急いだ。