もう一度、あなたに恋していいですか

「寧々ちゃん帰ろう」

美々が私のクラスへ来て、いつものようにそう言う。

「あ、ごめん。今日昴と買い物に行く約束してて。先に帰っててくれる?」

「…わかった」

美々を惚れさせる様々な作戦を開始してから2ヶ月。

昴とふたりきりで昼ご飯食べる。
昴に勉強を教える。
昴の部活の応援に行く。
たまに昴と二人で出かける。

いろいろなことを試した。

「美々、私たちのことちょっと気になり出してる気がしない?」

学校を出て、昴とファミレスに入り席につく。

「よくわかんねえ。そうなのかな」

昴は頬杖をついて深いため息をつく。

「そろそろ昴からアピールしていったほうがいいんじゃないかしら」

「何を?」

「美々のこと好きって」

「どうすればいいかわかんねえ。美々鈍いから何しても無駄な気がする」

「何かいい作戦ないかしらね」

最近は昴と一緒にいる機会が増えた。
今まで以上に昴と話し込むことが多くなった。

これまでだって昴のことをたくさん知っていたつもりだったけど、話してみると知らないことだらけだった。

仲のいい友達のこと。
部活では”すばる”じゃなくて”こう”ってあだ名で呼ばれていること。
昔は邦画しか見なかったのに、部活の先輩の影響で洋画を見始めたこと。

何でも知ってたつもりだったのに、私の知らない昴がたくさんいるんだって驚いた。
美々は知らないんだろうな。
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