もう一度、あなたに恋していいですか
「はじめさ、美々を好きだって寧々に知られたとき誤魔化そうかと思った」

「何で?」

「だって小学生のときから当たり前のように一緒にいた奴と好きなやつの話なんて恥ずかしいだろ」

昴は照れながら手のひらで顔を隠す。

「今まで私たち、恋愛の話なんてしたことなかったものね」

昴が美々を好きだって知る前日まで、私たち3人は恋愛の話なんて一切してこなかった。
昴は身内のようなものだったから、恋愛話なんて両親やきょうだいにするのと同じくらい話しにくいものだったから。

「でも寧々に相談して良かった。ありがとな」

昴はそう言って笑う。

…ドクン。

あれ?
なんだろうこの気持ち。
胸の真ん中があつい。

「当たり前でしょ。私たちきょうだいみたいなものでしょ」

「そうだな。寧々は俺の姉ちゃん同然だもんな」

…ズキン。

”姉ちゃん”か。
自分できょうだいみたいって言ったくせに何でだろう。
昴のその言葉に、私の胸に何かもやっとしたものが芽生える。

なんだろう。
この気持ち。

このときはまだ、この気持ちが何なのかわからなかった。
でもそれから昴が美々の話をして笑う度に、胸のもやもやが増えていく気がした。

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