もう一度、あなたに恋していいですか

それからはずっと昴のことを想いながら、昴の相談にのっていた。

部活の試合を見に来て欲しいって言ったらきてくれるかなとか。
明日二人で帰るときに、何を話そうかとか。
今度出掛けるときに、何を着ていったらいいかなとか。

他には美々への惚気話を延々聞かされる。

今日の髪型が可愛いとか。
スカートが短くて心配とか。
今日こんなこと言われてときめいたとか。

昴は本当に美々が好きなんだと思い知らされる。
美々が羨ましい。

双子で同じ顔なのに。
昴は私に振り向かない。

まわりの人は私と美々の区別がつかないことが多い。
両親でさえ、たまに間違える。

でも昴は私と美々を別々の人間として考えてくれている。
間違えたりは一切しない。
今まではそれが嬉しかったはずなのに、それが今私を苦しめる。

辛いに決まっている。
でも相談相手というポジションは、私だけができる役。
昴の隣にいる時間も増えたし、連絡を取り合う回数も増えた。

だからこのままでいい。
私は昴の相談相手。
ずっとこのまま。
私の気持ちは知らなくていい…。

昴の横顔を見つめながら、いつもそんなことを考えてしまう自分がいた。
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