もう一度、あなたに恋していいですか
でもこのあと、予想もしないことが起こった。
美々は昴を気にしているのはわかっていた。
二人は両想い。
美々の誕生日に付き合い始める。
そんなシナリオ通り進むはずだったのに。
突然”あの人”が登場人物に割り込んできた。
それが保健医の”西條先生”だった。
何をきっかけに美々と仲良くなったかわからないけれど、美々はある日から突然、保健室に通い始めた。
全く接点がなかった二人なのにどうして?
美々が西條先生を気にしはじめている。
心変わりしたの?
先生が好きなの?
私には全く心当たりがなかった。
そのことは昴もすぐに気づいていた。
「最近美々、保健室通ってるよな」
昴は元気のない様子で小さな声で言った。
「そう…みたいね」
相当ショックのようで、お弁当も手についていない。
こんなこと今までなかったのに。
「西條のこと好きなのかな…」
「そうと決まった訳じゃないでしょう?」
「でもさ、最近美々ぼーっとしてるじゃん」
「気のせいよ」
確かに家でもぼーっとしてるかも。
とはさすがに言えない。
「もっと早く告れば良かったかな…」
これは…私にとってチャンスなの?
もしかしたら私のほうをみてくれるかもしれない。
…って、だめだめ。
こんなこと考えちゃ。
一瞬芽生えた邪な気持ちを振り払う。
どっちにしても真偽を確かめないといけない。
「私、確かめてくるよ」
私は昴にそう言った。