もう一度、あなたに恋していいですか
その日の放課後。
校舎にいる生徒が少なくなってきた時間帯。
私は教室を出て保健室に向かう。

今日も美々は用事があるって言っていた。
きっと保健室だ。

西條先生は校内でも変人と有名だった。
そんな人と美々が仲が良いなんて、何か信じられない。
先生に問いつめてやるんだから!

保健室に到着すると案の定、美々はいた。
扉の隙間から笑い声が漏れてくる。

「それで玲奈がね授業中寝てて、しかも寝言を呟くから私焦っちゃって。寝てるの隠すの必死だったんですよ」

友達の玲奈ちゃんの話をしているようだった。

「夜更かしは肌に良くないですから、22時には寝る方がいいですよ」

「さすがに高校生で22時は早くて無理ですよ」

「僕は22時に寝ますよ」

「はやっ!だから肌が綺麗なんですね」

二人の楽しそうな会話が聞こえてくる。
別に変なことをしているわけではなく、ただ話をしているだけのようだ。

先生は髪がぼさぼさで、特に格好いいというわけではない。
確かにスタイルは良いみたいだけれど、美々が惚れそうな要素は特に無さそうだ。

こっそりと扉の外から覗いていると、ふとした瞬間に先生と目が合う。

わっ、やば。
気づかれたかも。

私は扉から離れて身を隠す。
覗いてたのばれたかな?
いや、すぐ見えないように隠れたし大丈夫よね?

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