日常に、ほんの少しの恋を添えて
私が近づいていくと、彼は私に気が付き、こちらを見てにこっと微笑んだ。
「やあ、志緒ちゃん、久しぶり。待っててくれたの」
「はい。専務少し遅れますのでよかったらこちらでお待ちください」
うちの会社のエントランス脇にはちょっとしたカフェスペースがある。私は小動さんをそのスペース内にあるソファーへ誘う。
「急に湊誘っちゃってごめんね。急ぎの用事もあってさ」
ソファーに腰掛けながら、小動さんが申し訳なさそうな顔をする。
「いえ、とんでもないです。何かお飲み物でもお持ちしましょうか」
「ううん、お構いなく。あと、俺と話するときそんな堅苦しい話し方禁止ね、志緒ちゃん」
そう言って小動さんはニカッと笑う。
「そう言われましても、私勤務中ですので……」
「じゃあ、志緒ちゃんが聞きたくなるような話をしようか。俺と、湊と、美鈴の話」
「え」
いけない、小動さんのペースに乗ってはいけないと思っていたのに、彼の口から出た女性の名前につい反応してしまった。
その名前は、先日ショッピングモールで買い物中の私たちが遭遇した、小動さんの彼女の名前だ。
明らかに私が動揺したので、小動さんはほらね、と言わんばかりに嬉しそうに微笑んだ。
「やあ、志緒ちゃん、久しぶり。待っててくれたの」
「はい。専務少し遅れますのでよかったらこちらでお待ちください」
うちの会社のエントランス脇にはちょっとしたカフェスペースがある。私は小動さんをそのスペース内にあるソファーへ誘う。
「急に湊誘っちゃってごめんね。急ぎの用事もあってさ」
ソファーに腰掛けながら、小動さんが申し訳なさそうな顔をする。
「いえ、とんでもないです。何かお飲み物でもお持ちしましょうか」
「ううん、お構いなく。あと、俺と話するときそんな堅苦しい話し方禁止ね、志緒ちゃん」
そう言って小動さんはニカッと笑う。
「そう言われましても、私勤務中ですので……」
「じゃあ、志緒ちゃんが聞きたくなるような話をしようか。俺と、湊と、美鈴の話」
「え」
いけない、小動さんのペースに乗ってはいけないと思っていたのに、彼の口から出た女性の名前につい反応してしまった。
その名前は、先日ショッピングモールで買い物中の私たちが遭遇した、小動さんの彼女の名前だ。
明らかに私が動揺したので、小動さんはほらね、と言わんばかりに嬉しそうに微笑んだ。