日常に、ほんの少しの恋を添えて
 会社違うけど、グループ企業だから何かそういったこともあるのかな、と私は真剣に考え込む。
 するとそんな私の様子に、こちらを振り返った専務がフッと笑みを漏らす。

「俺の専属になってほしいんだけど」
「……秘書、ですか?」

 私が尋ねると、専務が私の手を取り、ぎゅ、と握った。そして私をまっすぐに見つめてくる。その視線に射すくめられるように、私は動きを止めた。

「人生のパートナーになってほしい。この三年間、一日もお前を忘れたことはないよ。ずっと日本に帰ったら言おうと思ってた。俺にとってお前以上の女性はいない。だから……結婚してくれないか」

 そう言われて、思考が停止する。でもすぐに私の顔にはみるみるうちに熱が集中する。

「えっ……!! け、結婚!!」

 お付き合いじゃなくて結婚!?
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