日常に、ほんの少しの恋を添えて
「返事は?」
 
 少しだけ心配そうに、湊さんが私の言葉を待っている。
 いきなり結婚って言われて超焦ったけど……でも。
 迷うわけがない。私だってこの三年間、一日も忘れたことない。この人のことを。

 ――私、持久力には定評があるもんで……

 私は顔を上げて、彼に精一杯の微笑みを返す。

「はい、よろしくお願いします」

 私の返事に、湊さんが満面の笑みを浮かべた。

「よし。じゃ俺んちで飯でも食うか。積もる話もあるしな」
「え? でも、あの私仕事が……」
「河出専務には話つけてある。っていうか今回の会食はお前と俺を会わせるためにあの二人が仕組んだんだ。だから大丈夫」
「えええ??」

 専務ったらそんなことひとことも言ってなかったのに……!!
 ちょっとだけ困惑する私とは対照的に、専務は楽しそうに私の手を握り歩き出す。

「専属になってくれって言ったけど、仕事を続けるかどうかは長谷川……いや、志緒に任せるから。好きにしてくれていいよ」
「……あ、ありがとうございます。そういえば湊さんって、藤久良商事ではどんな役職に就かれてるんですか?」
「ああ、専務だよ」

 あ、また専務なんだ……
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