日常に、ほんの少しの恋を添えて
「あの、聞いてもいいですか?」
「なんだ」
「小動さんと専務、仲が良いんですか?」

 私が投げかけた質問に、専務はあからさまに嫌そうな顔をする。

「学生時代からの付き合いだってだけだ」
「そうなんですか? 小動さんは専務に対してすごく親し気だったので、私はてっきり仲が良いのかと」
「悪くもないが、どっちかというとあいつの方が俺を良く思ってないだろう」
「え? それってどういう……」

 コーヒーを飲んで、ふうと肩の力を抜いた専務が私の目をじっと見つめてくる。

「付き合い長いといろいろあるんだよ。それより、コーヒー飲んだら飯食いに行くぞ。腹減った」
「あ、はい」

 あんまり仲を突っ込まれるの、嫌なのかな?
 コーヒーを飲み終えた私と専務はホテルを出ると、近くにあった手打ちうどんの店に入った。
 専務が好んで食べる食事ってどんなんだろ、って思ってたんだけど、意外にも庶民派?
 さほど会話も盛り上がらないまま運ばれてきたコシの強い、太いうどんをつるつると食べた。
 水の美味しい地域は、うどんも美味しいなあ……とうっとりしつつ、再び車に乗り込み会社への道筋を辿るのだった。


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