日常に、ほんの少しの恋を添えて
ここで数歩先を行く専務が立ち止まり、私の方を振り返る。
「もう終わりでいいのか? 他に用事は」
「あ……な、ないです。もう全部済みました」
私がこう言うと、専務は「よし」といってまた歩き出した。そんな専務を通りすがりの若い女性がちらちらと盗み見ているのが目に入ってきた。
そうだよね、見ちゃうよね。だって素敵だもの。見た目もだけど、内面もイケメンなんだよこの人は。
考えてみれば、私秘書課に配属になってからこの人に助けてもらってばっかりなんだ。
本来私が専務の業務補佐をする立場なのに、逆転しちゃってるじゃんと思ってちょっと顔が笑ってしまう。
「なに笑ってんだ?」
振り返った専務が、笑っている私に気が付き、不可解そうな表情でその場で動きを止めた。
「なんでもないです!」
笑いながら誤魔化した。
きっと彼は私の気持ちには気付いていないだろう。
そんなことを考えながら、私は先を行く広い背中を追いかけたのだった。
「もう終わりでいいのか? 他に用事は」
「あ……な、ないです。もう全部済みました」
私がこう言うと、専務は「よし」といってまた歩き出した。そんな専務を通りすがりの若い女性がちらちらと盗み見ているのが目に入ってきた。
そうだよね、見ちゃうよね。だって素敵だもの。見た目もだけど、内面もイケメンなんだよこの人は。
考えてみれば、私秘書課に配属になってからこの人に助けてもらってばっかりなんだ。
本来私が専務の業務補佐をする立場なのに、逆転しちゃってるじゃんと思ってちょっと顔が笑ってしまう。
「なに笑ってんだ?」
振り返った専務が、笑っている私に気が付き、不可解そうな表情でその場で動きを止めた。
「なんでもないです!」
笑いながら誤魔化した。
きっと彼は私の気持ちには気付いていないだろう。
そんなことを考えながら、私は先を行く広い背中を追いかけたのだった。