取り戻したい・・愛

✫✫紹介


陽翔さんは、私を抱き締めたまま
「海愛。びっくりするなよ。」
「???」
「そこにいるんだろ?旭。
よく隠れられたな?」
と、言った。
「はい、若。」
と、声がしたと思ったら
出てきたのは、でっかい男の人で
思わず、陽翔さんの服の裾を掴んで
「・・ひぃ・・」
と、声がもれた・・
すると、その大きな人は、
「······すいやせん。」
と、頭を下げた。

陽翔さんは、
「海愛、大丈夫だ。
俺のそばにいつもいてくれる旭だ。
顔を覚えていてくれって、
忘れないか。くくっ。」
「・・もぅ」
と、言うと
陽翔さんは、笑いながら
私の頭を撫でて
「旭、海愛だ。
俺の大切な女だ。頼む。」
「はい。旭です。
若の側近をやらせて頂いています。」
海愛は、陽翔から少し離れて
「柚木 海愛です。
宜しくお願いします。」
と、頭を下げた。
旭は、
「・・あっ、えっと。」
「海愛、旭の方がびっくりしてる。」
と、言われて
ん?と、わからずに海愛は陽翔を見上げる
「海愛が、挨拶をするから。」
「初対面の人に
挨拶をするのは、間違ってないでしょ?」
「まあ、それは、そうなんだが。」
「あはははっ、若が困ってますね。」
「陽翔さんが、困るの?」
「あっ、いや、旭、拗れるだろうが。」
「はい、はい。
ですが、あいさつをしたりされたり
する習慣がないもので
申し訳ありやせんでした。」
「ええっ、そうなんですか?
私は、陽子先生から
挨拶は、みんなを明るくするから、
きちんとやるようにと育ったから。」
「陽子先生?」
「はい、養護施設の先生です。」
海愛が、そういうと
旭は、俺を見た。
「海愛には、両親がいない。
母親をなくしてからは養護施設で育った。」
と、海愛の頭を撫でながら
俺が言うと
旭は、一度頷いただけだった。

そして
「若、親父には?」
「ああ、海愛はこの病院の研修が
今日までなんだ。
明日から違う病院に行くみたいだから
今日の内に会わせておく。」
と、言った。

旭さんは、直ぐに誰かに電話していた。

それから、陽翔さんをみた。
陽翔さんは、一度頷いてから
「海愛。俺と付き合うことは
海愛にも危険を伴うことに
なるかもしれない
だから、親父に顔を覚えて
もらうが良いか?」
「えっ、陽翔さんのお父さん?」
「ああ。」
「こんな服で大丈夫ですか?」
「・・・くくっ」と、陽翔。
「あはは、服ですか?」と、旭。
「私・・なんか、変なこといいましたか」
「「いや、いいえ」」
「‥‥‥もぅ‥‥‥‥」
「海愛、怒るな。
普通は、やくざの組長にあうんだから
怖がったり、とかだろう。
なのに、海愛が服の心配するから。
だが、いつでも、お前は可愛から
問題ない。」
と、さらっと
言うから、こちらが真っ赤になる。

旭は、そんな二人を嬉しそうに見ていた。
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