取り戻したい・・愛

✫✫笑わない


親父は何度も 俺に詫びた。

だが俺は、頭が真っ白になり
何も考えられなかった。

蓮さんが、青柳に連絡をとり
安西にはこちらから
連絡する旨を伝えた。

それから旭を呼んで
陽翔を託した。

その日から陽翔は荒れ狂い
旭以外では、手がつけられずに
日々を過ごした。

数日して
蓮さんが事務所に来て
安西 風香の話をした。

風香が、海愛を脅したようだ。

安西財閥は、
『金に困ってもいないから
政略結婚とかあり得ない。
風香は好きな人と結婚すれば良い。』
と、ずっと話していた。

だが、風香は
『陽翔と結婚しないなら
親が勝手に決めた人と結婚しないと
いけないと嘘をついたこと。

昔からずっと、風香が海愛さんを
護ってきたから恩返しをするように
言ったこと。

財閥の方が陽翔の役に立つこと。

自分は、海愛の代わりに安西の
養女になり苦しんだこと。』
を、言って脅した事を聞き出して
報告してくれた。

くそっ!!くそっ!!!
俺があのとき、会わないと
もっと、強く言っていたら。

海愛が、おかしいときに
動いていたら。

海愛・・・海愛・・・・

酒に溺れ暴れまくる俺を
旭は、毎日、毎日
止めてくれた。

そんなとき
親父が表れて
俺に頭を下げた。

そして
「辛いなら、養子を解く」
と、言った。
「「頭、組長」」
蓮さんと旭。

「嫌、いいんだ。
俺は、一度ならずも
二度まで。」
と、座り込んでしまった。

「若、頼んます。
学生の時、親父に助けられた事を
思い出して下さい。
お願いします。」
と、旭が土下座をした。

俺は、行き場のない怒りに
壁を殴りつけ、
右手はボロボロになって
旭によって病院に運ばれた。

退院するときには
俺は、二度と笑わなくなっていた。
< 60 / 91 >

この作品をシェア

pagetop