エリート御曹司とお見合い恋愛!?
 ここはビルの五階にあるフィットネスジムだ。仕事帰りの人はもちろん、外部からわざわざやって来る人も多く、わりと多くの人で賑わっている。

 楽しそうにお喋りする人は意外と少なく、みんな黙々とトレーニングに励んでいた。そして、なんでこんな場所に私がいるのかというと、事の始まりは、恒例となった朝のカフェで倉木さんとご一緒した際に、好きなスポーツの話題になったことだった。

 倉木さんは学生のときからテニスをしていて、今でも趣味でしたりするらしい。あー、なんとなく似合うな、と思いながら、私はあまりスポーツに縁がなかったことを告げた。

 サッカーも野球もバスケも、そしてテニスも、見るのが専門だ。自分でやろうなんて思ったこともない。

『おかげで私、筋肉全然ないんですよね。もう少しないと困ると思うんですけど』

 自分であまりにも筋肉のついていない腕に触れながら倉木さんに話題を振ってみると、返ってきたのは笑いでも呆れでもなく真面目な顔だった。

『じゃぁ、鍛えてみる?』

 まさか、それが本気だったなんて。なんでも倉木さんは仕事終わりにストレス発散や運動不足の解消にと、このフィットネスジムによく通っているらしい。モノトーンでまとめられた有名スポーツメーカーのトレーニングウェアがよく似合っている。

 スーツ姿以外を見るのは初めてで、違う意味でなんだかデートみたいで私はすごくドキドキした……のは、最初だけだった。

 初心者向けメニューということで提案された内容は、ストレッチに筋トレ、ジョギングを組み合わせたもので、それをこなすのに私は必死だった。

 もちろん無理な内容を要求されたわけではない、いかんせん私の体力がなさすぎるのだ。その間、倉木さんは、専属トレーナーのごとく、私にずっとつきっきりだった。なので、ひとりで来ている若い女性の視線が痛かったりもしたのだけれど。
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