おはようからおやすみまで蕩けさせて
「遅くなってごめん。結婚指輪よりも先にこっちかなと思ったから用意した」


箱から出したケースを目の前に差し出す。
彼の掌に包まれてる物の蓋を開ければ、中にはピンク色の石が乗った指輪が輝いてる。


「ピンクダイヤだって。珍しいだろう」


左の掌を持ち上げ、ゆっくりと通してくれる。
いつの間に指のサイズを測ったのか、ピッタリと輪が嵌った。


「キレイ…」


光の加減でピンク色が濃くなったり薄くなったりする。
こんなステキな物が用意されてるなんて、全く思わずにいた……。

ジーン…と感動してたら涙が浮かんできて、言葉も返せずに指輪だけを見てたら名前を呼ばれた。



「結実」


涙で滲む視界の中に彼の照れ臭そうな顔が見える。
スン…と鼻を吸うと、彼が優しい顔つきで笑った。


「俺の妻になってくれてありがとう。いきなり入籍から入ってごめん。でも、俺はずっと結実のことが好きで、結実も俺を好きだと知った瞬間に、誰にも渡したくないと思ったんだ。
想いが一途過ぎて結実には重たく感じられることもあったと思うけど、これからもどうか一緒に居て欲しい。朝から夜まで、俺の愛に浸って欲しい」


真面目そうに話すから余計に何も言えない。
涙が零れ落ちるのを感じながら「ん…」と答えるのが精一杯……。


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