おはようからおやすみまで蕩けさせて
営業部にいる頃から人事部長の榊原さんに可愛がられてた浬さんは、披露宴でも彼と奥さんに媒酌人を頼んだ。
半年前に挙げた式や披露宴が滞りなく終わったのも、全部、榊原さん夫婦の力添えがあったお陰だ。


「何時になってもいいけど気をつけて帰ってね」


「結実こそ気をつけて過ごせよ」


「私はほぼ家の中にいるんだから大丈夫。買い物もそんな遠くに行く訳じゃないし」


子供じゃないんだから…と言えば、知ってるけど気になる…と心配される。



「もうっ。気にし過ぎです!」


溺愛体質も程々に…と言いたい気分。
今のところ、彼の心を独占してるのが私一人だからかもしれないけど。



朝食を済ませてマンションの部屋を出る彼を見送り、私はそのまま食器を洗って掃除と洗濯を開始する。

仕事をしてる時は、それらのほぼ全てを彼が担ってる様な状態だった。
私の方が帰りが遅くて、帰ると既に大体のことが済んでるような毎日で。

出来ることを残しておいてと言っても、「それは先の楽しみに取っておく」と言われやり遂げてしまう。
それが完璧だからイヤなのに…と呟いたら、「まぁいいじゃないか」で済まされてお終い。



「…でも、今日からは頑張るんだから!」


朝はコーヒー以外は完璧だったと思う。
ワイシャツにもきちんとアイロン掛けてたし。


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