おはようからおやすみまで蕩けさせて
床を見つめたまま平気じゃない…と思うけど、山本さんを止めにも行かず、じっとその場に佇んでた。

チームメンバーの女子が嬉しそうだった。
今夜の合コンに参加する女子達は全員天宮さんが来れば喜ぶ筈だ。


私がメンバーならそうだもん。
彼が結婚してても一緒に飲めれば嬉しいし。


(天宮さんはホントに他の女子と飲みたいの?)


体に触れるのも飲みに行くのも私だけが特別な行為ではなかったのか。
山本さんの言うように、彼も一般男性と同じなのか。


(結婚してもモテたい?私から離れたら何をしても許されると思ってる?)


さっきの二人の会話のせいで、きっともう別居してるかもって噂は流されてる。
『急過ぎたから変だと思ったんだよねー』とLINE上の文字までが見えてきそうだ。


(このままでいいの?ホントに?)


イヤだと思うけど何故か我慢してしまう。
仕事のことも家事のことも、何もかもが歯痒くて思い通りにならないことが許せなくて。




ーーその後の商談も生彩を欠いた。
逃げ出すまではなかったけど、あれだけ毒を吐いてた自分のモチベーションを保てずに虚ろだった。

そんな調子だったからか、津田ちゃんはいつも以上にいろんな意見を言ってた。
仕事ぶりを横で見ながら、私よりも遥かに仕事がデキるな…と感じてしまった。


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