隣の席の瀧くん



周りが騒つく中、あたしと壮ちゃんは本番に向けて舞台裏でスタンバイをしていた。



「ねぇ、壮ちゃん。
こんなにリハーサルとか無しでぶっつけ本番なの?」


「それな。
いくらなんでも不安すぎる。

…ったく、一体何すんだよ」




舞台前には、もうたくさんの生徒で溢れていた。

先ほど先輩に聞いた所、この行事は今年初めてするそうで…


とてつもなく盛り上がっている。


…みんな、あたしだなんて思わないんだろうな…



「壮ちゃん、あたしが出てきたら絶対皆んな笑うよね。そしたら…悠人くんどんな気持ちかな…」



自分の彼女が笑われるってーー、




「何言ってんの。
花は可愛いよ、昔からずっと。

この俺が言ってんだからもっと自分に自信持ったら?」



ーーっ、


壮ちゃんらしくないの。


でも…


「ありがとね。
不安が無くなったかも」


「かもかよ」



ははっ、と2人で笑った。




< 288 / 299 >

この作品をシェア

pagetop