隣の席の瀧くん
周りが騒つく中、あたしと壮ちゃんは本番に向けて舞台裏でスタンバイをしていた。
「ねぇ、壮ちゃん。
こんなにリハーサルとか無しでぶっつけ本番なの?」
「それな。
いくらなんでも不安すぎる。
…ったく、一体何すんだよ」
舞台前には、もうたくさんの生徒で溢れていた。
先ほど先輩に聞いた所、この行事は今年初めてするそうで…
とてつもなく盛り上がっている。
…みんな、あたしだなんて思わないんだろうな…
「壮ちゃん、あたしが出てきたら絶対皆んな笑うよね。そしたら…悠人くんどんな気持ちかな…」
自分の彼女が笑われるってーー、
「何言ってんの。
花は可愛いよ、昔からずっと。
この俺が言ってんだからもっと自分に自信持ったら?」
ーーっ、
壮ちゃんらしくないの。
でも…
「ありがとね。
不安が無くなったかも」
「かもかよ」
ははっ、と2人で笑った。