苦い蜂蜜
ー智から聞いた。財布、伽耶が選んでくれたんだって?ありがと。

「ううん。でも払ったの真山くんだから。」

ーなんじゃそれっ!、伽耶だけ俺のためになんか買ってこーーい!

まぁまぁ、と麻里奈さんがなだめた。
それからケーキを食べて、みんな朝まで飲んだり話したりしてた。

私は日記落とした時から、もう酔っ払うことには恐れていたので、あまり飲まないようにしてた。

そして自分の部屋で今日の日記を書いた。
それから眠たくなってベッドに入っていた。



目を覚ますとまひろが座っていた。

「まひろ??」

ーもー寝すぎ。みんな仕事に行っちゃったけど?

あんなに騒いでいたのに、みんなけじめがついている。
だめだ。私も行かないと。

慌てて飛び起きたらまひろがそれを阻止した。

ー今日は休んでいいって、智が言ってたから、休めよ。

「とかいいながら、また勝手に休ませたんでしょ!!」

ーいや、、

もうまひろの嘘をすぐに見抜けるようになった。でも休みなら今日はもう少し寝よう。

再び布団をかぶったらまひろがそれを引き剥がした。

「なによ、寝させてよ。」

ーお前ニートかよ。いい年して。

「は?違いますー。てかまひろが勝手に休ませたんじゃん。ってことで、おやすみ。」

ー今日は俺に付き合えよ。

「なんでよー、何もしないくせに。」

ー智だったら付き合うくせに、お前もやっぱ、顔か?金か?

その言葉にイラっとして、まひろに当たった。

「仕事場一緒なんだから仕方ないじゃん!」

ーじゃあ、もしも俺の仕事手伝ってっていったら来てくれた?
手繋いで一緒に帰ってくれた?

潜り込んだ布団の中で胸がチクっとした。昨日の帰り、まひろは私たちを見てたらしい。

「そんなの、、分かんないよ。」

言い返すと今度は返事なしでドアが閉まる音が静かな部屋に響いた。
その音がすごく、嫌だった。
< 21 / 24 >

この作品をシェア

pagetop