【完】君しか見えない
「おまえは?」
「え?」
モヤモヤとした気持ちを抱えていると、突然楓くんの声が飛んできた。
おまえは、って……?
「付き合ってた奴とかいねぇの?」
「へっ?」
立て膝に頬をつき、まっすぐにこちらを見つめられる。
答えないことは許さない、とでも言うように。
もちろん、だれかと付き合ったことなんてない。
でも一度だけ、そういった類のことはあった。
楓くんに心の中を読まれているみたいに思えてきて、緊張でカーッと顔が熱くなる。
あんなこと、記憶から抹消したはずなのに。