【完】君しか見えない
どんぐりの背比べをしていた俺たちの背も、いつの間にか俺の方がぐんと身長が伸び、中2の秋を迎えた。
放課後になり、俺はいつものように、入り口から十羽の教室を覗く。
一緒に登下校するのは、小学校時代から習慣のひとつだ。
初めてクラスが別れてしまってからは、こうして放課後にクラスまで迎えに来ている。
まだほとんどの生徒が残る教室の中、窓側の席に座る十羽の姿を認めた。
『とーわ、帰ろ』
俺の声が届くと、窓際の席に座り、ひとり帰る準備をしていた十羽がびくっと肩を揺らした。
驚かせちゃったかな、なんて内省していると。
『うん』
返事と共にこちらを振り返った顔には、いつもの笑みが浮かべられていた。