【完】君しか見えない
『はい、十羽』
田舎道をふたりきりで歩きながら、半分に切ったあん饅を十羽に渡す。
『私、小さい方でいいよ』
『や、俺が小さい方』
『いやいや!楓くんが奢ってくれたんだから、楓くんが大きい方!』
俺の切り方が下手だったせいで勃発する、どっちが小さい方を食べるか論争。
『はは、十羽は変なとこ頑固だよね。
じゃあ、お言葉に甘えて』
『どうぞどうぞ』
肌寒くなってきて温もりを求めた俺らは、通学路にある唯一のコンビニであん饅を買って、ふたりで半分個にして食べることにしたのだ。