【完】君しか見えない
『ふふ、どうしたの?急に』
『ん……、これからも、十羽といたいなって』
ぽつりと本音をこぼせば、隣の十羽がぎゅっと体に力を込めたのが、気配でわかった。
『わ、たしも……』
小さな声だけど、それはたしかにまっすぐ届いて、俺の胸をいっぱいにする。
『……』
『……』
ふたりで黙りこくって歩いていると、不意に手の甲がコツンと触れた。
小さい頃は、当たり前のように手を繋いでいた。
でも、いつの間にか繋がなくなって──。
再び手の甲が触れて、俺はその手を捕えるように握りしめた。
十羽の緊張が、手から伝わってくる。
でもやがて、ぎゅっと手を握り返してくれた。